興味があったら、まずは一度研究室に見学に来てください(研究室見学)。
その後配属を希望する場合には、メール等で日程を決めて、一度話しましょう(面談)。
面談の際には、どのようなことをやりたいか、研究室でどのようなことができそうかといったお話や、これまでどのようなことをやってきたのか、得意なものはどのようなものかなどのお話ができればと思います。
ヒトや動物は地面の固さや凹凸の異なる様々な生活空間の中で自由に運動を行えますが、運動を実現する脳の制御の仕組みには未解明なことがたくさんあります。例えば、平坦な床から階段を上るとき、最初の足の運びから運動変化が始まります。この運動変化には、将来の足位置の予測が必要となり、また予測には自身の身体と環境状態の情報(脳内モデル)が必要となります。このように運動中、脳では無意識のうちに身体と環境の学習・予測という高度な機能が働いています。一方で、予測や学習を運動制御にどのように用いているのかという問題には不明な点が多く存在します。我々は、神経疾患動物や神経疾患患者の運動計測、制御理論、力学シミュレーションを基に、このような脳が持つ高度な学習適応原理に迫っています。
脳がどのように運動を作っているかを調べるために、どのようなアプローチが考えられるでしょうか?一つの方法は、すでに存在するシステムを解析することです。すなわちヒトの動作を解析して、使われている制御則を調べる方法が考えられます。運動中に安定化を行うメカニズムの解明には、一度外乱等を与えて不安定化させ、その後の動作を計測し、解析することで、ヒトが持つ安定化の仕組みに迫れると考えられます。さらに、将来の運動中の予測に必要な情報を与えて運動を行うことで、脳が予測をどのように運動に用いているかに迫ることができます。我々は健常者と小脳疾患患者さんを対象に、運動解析の研究を行っています。
運動の解析によって制御則が仮定できたら、その制御則によって実際に安定化ができるのかを調べていきます。コンピュータ上で運動を再現するには、筋肉や骨格系の数理モデルを構築し、仮定した制御則とあわせて計算をする必要があります。力学シミュレーションを構築し、どのような制御側が安定化にうまく働くのか、どのような制御側が最もヒトの運動をよく説明できるのかを考えることで、脳内に存在する制御則を調べていきます。現在、ヒトの歩行動作やラットの動作を行う力学シミュレーションの研究を行っています。
脳の制御則を調べるにあたり、その制御則が本当に脳の中に存在するか?存在するのであれば、脳のどこに存在し、神経系のどのような仕組みによって作られているのか?がまた重要なポイントになります。この仕組みに迫るために、我々は神経疾患を持つ動物を使ったアプローチを行っています。現在、特に小脳の仕組みを中心とし、障害を持つ動物がどのような機能低下を生じるかを調べることで、小脳内でどのような制御機能が作られているかに迫っています。2足直立をさせたラットに外乱を与えて、姿勢の予測を行わせる研究や、VR環境下での歩行するラットの運動の研究などを行っています。
研究室では、このように実験と理論を活用して、脳の仕組みに迫っています。運動を作り出す脳の仕組みを明らかにすることで、自由に動き回るロボットの開発や、運動障害を持つ患者さんへの効果的なリハビリ法の開発につながると期待できます。これらの研究には広範囲の専門知識や、経験、施設等が必要となるため、神経系やリハビリ、ロボットなどの様々な研究者との共同研究によって研究を遂行していきます。
以下のような研究テーマを考えています。
歩行運動中に、ヒトや動物は自身の将来の状態を予測し、予測に基づいて運動を制御します。将来の環境の情報を与えて、動作を調べることで、どのような形で予測のためのモデルを作り、どのように予測制御を行うのかを調べていきます。
ヒトの歩行中に使われる予測制御のメカニズムを、ラットの実験ともに、ヒトに対して外乱提示を行った運動の実験と制御系の解析を基に調べていきます。
直立中に、合図を与えて外乱を加えることを何度も行うことで、合図に対して外乱を予測して姿勢を変化させるようになります。このような実験と解析により、背後にある予測制御則を明らかにします。
ヒトやラットは、小脳の学習機能を使うことで、環境の変化に適応するような運動を学習していくことが知られています。スプリットベルトトレッドミルは、足の速度を右足と左足で変えながら歩かせるルームランナーで、この上で歩くと、1分程度の時間をかけて徐々に運動を変えることが知られています。小脳に障害を持つラットの運動計測と解析によって適応則を調べていきます。
ヒトや動物の体をどのように認識し、制御しているかを調べるため、体の構造を大きく変化させ、その後の回復過程を調べます。この研究ではサルの筋肉がつながる場所を外科手術によって変化させ、回復期における、脳活動、筋活動、動作を解析して、その適応則に迫ります。
※筋(腱)付け替えは事故などで失われた運動を機能回復するために行われる手術で、サルでは2カ月ほどかけて回復します。
「身体-脳の機能不全を克服する潜在的適応力のシステム論的理解 -身体変容への超適応のモデル化」
神経疾患や身体変化のような大規模な身体システムの変化に対応する脳の適応原理を解明する。特に、サルの腱付け替え後の脳機能の変化を調べることで、身体変容に適応する脳の学習制御則を明らかにする。
スタッフ:舩戸 徹郎 +博士研究員 1名 +秘書1名
客員研究員 2名
大学院生:修士2年 4名、修士1年1名
学部生:5名
教員室: 西2号館227室
学生室+実験室:西2号館229室
※229室は一般の部屋(227室等)の約5倍の広さの部屋で、モーションキャプチャシステム、筋電計測系、ヒトの外乱装置等、実験装置を完備しています。
・ゼミミーティング週一回: 全員が進捗状況等を話し、議論しましょう。
・ゼミ発表:毎回担当者を決めて、資料を作成し、発表していきます。
4年生の前期の間は、英語論文を訳して、発表してもらいます。
・柳原研(東大)との合同ミーティング
・輪講:制御関係等の本を週一で読みましょう